特許要件(特許性について)

新規性と進歩性

発明を特許として出願すると、特許庁でその発明を特許にしてよいか審査されます。
この「発明を特許にしてよい」と認められる要件はどのようなものでしょうか。
一言でいうと「新しくてスゴい、それが分かるように書かれている」ことです。
要件として大きく分けると、以下2つです。

1.特許性:(1)新しくて(2)スゴいか。
2.記載要件:(1)発明が明らかで(2)作れて(3)スゴいことが分かるか。

この記事では、まず1.特許性について説明します。

特許性とは

発明が特許になるためには(1)新しくて(2)スゴいことが必要です。
特許は独り占めできる権利であり、社会のためにならないといけないためです。

(1)新しい: 今までにあるものを公開しても価値がなく独り占めさせられない。
(2)スゴい: 簡単なものを独り占めできると、権利だらけで誰も何もできなくなる。

以下、それぞれ具体的にみていきましょう。
※発明はあくまで仮ですので、あしからず。

(1)新しいか(新規性、先願要件)

まずは(1)新しいかどうか、です。
「新しい」とは、「今までのものと同じものが無い」ことです。

図に示すように、自分の発明が「ゼリーのせハンバーグ」だとします。
ここで、今までのものが「ソースハンバーグ」や「ゼリー」だけだとします。

そうすると、ハンバーグやゼリーは別々に今まであったとはいえ、
「ゼリーがのったハンバーグ」という組合せは無い訳です。
つまり、同じものが無いので、この発明は「新しい」といえます。

※特許法における新規性(29条1項)、先願(39条)、拡大先願(29条の2)に該当する要件です。

(2)スゴいか(進歩性要件)

次に、その新しい部分が(2)スゴいかどうか、です。
「スゴい」とは、「その発明を簡単には思いつけない」ことです。

図に示すように、今までのものに「ハンバーグ」と「ゼリー」はありますから、
ハンバーグの上にゼリーをのっけることは誰でも思いつけるようにみえます。

ここで、自分の発明が「甘い」ゼリーだとどうでしょうか。
ハンバーグに甘いゼリーをのっけるというのは、普通やりません。
(おいしくなさそうなので)

でも、ゼリーの甘さがハンバーグに合って想像以上においしいかもしれません。
この、「普通やらない」+「想像以上においしい」=「スゴい」です。

※特許法における進歩性(29条2項)です。

「今までのもの」はどこからくるのか(未公開文献、公開文献)

自分の発明が今までのものに比べて、新しくてスゴいと特許になり得ます。
この「今までのもの」とは以下2つに分けられ、その扱いがそれぞれ違います。

① 自分が出願した時に、まだ公開されていない文献(特許庁だけ知ってるもの)
② 自分が出願した時に、もう公開されている文献(みんな知ってるもの)

①出願時にまだ公開されていない文献の場合

特許出願は、出願してから原則1年6ヶ月たった後に公開されます。
未公開でも、それに書かれているものと同じ発明は「新しい」とはいえません。

ただし、まだ公開されていないので、その内容は特許庁しか分かりません。
なので、庁以外の人たちはその文献を他の文献と組み合わせることができません。
比べる対象は、公開されていない一つの文献に書いてあるものに限られます。

つまり、一つの未公開文献における発明とほぼ同じものは特許になりません
「ほぼ」は、少し違いがあっても、その違いが「それぐらい常識で変えられる」範囲のことです。
例えば、「ゼリー」と「ジュレ」はほぼ同じものになり得ます。

※特許法における先願(39条)、拡大先願(29条の2)に該当する要件です。

② 出願時にもう公開されている文献の場合

続いて、自分の発明を特許出願する時に、公開されている文献についてです。
当然この文献に書かれている発明と同じものは「新しい」とはいえません。

①と違う点は、複数の公開文献を組み合わせて比べる対象にできることです。
例えば、「ソースハンバーグ」と「ゼリーステーキ」の2つの文献があるとして、
その2つを組み合わせて、「ゼリーのせハンバーグ」が簡単となる可能性があります。

つまり、一つの公開文献における発明とほぼ同じもの、また
複数の公開文献の組合せで簡単に思いつくものは特許になりません。

※特許法における新規性(29条1項)、進歩性(29条2項)に該当する要件です。

さいごに

発明が特許となるために必要な要件の一つ;特許性について説明しました。
新規性、進歩性、先願などというと、仰々しく難しいように思うかもしれません。
しかし、実はそんな難しいものではなく「新しくてスゴ」ければよいだけです。

今までのものに何かを付け加えたり何かを変えて、
その何かによってスゴいことが起こることを
特許庁に認めてもらうように書類を書いたり、意見したりすればよいのです。

これなら特許とれそう、って思いませんか?

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