独立開業に向けて① 事業目的の設定・自身の強み把握

resource 自分の強み

私は現在、関西にある企業の知財部に勤務している弁理士ですが、地元である愛媛県で開業することを検討しています。
その理由としては、高齢の両親のフォローや、特に自分を育ててくれた地元貢献をしたいと考えているためです。
私は、住みやすく、人が温かい愛媛が好きですし、自分の能力を活かして愛媛に恩返しすることができるのであれば最高です。

子供が小学校に入学する来年2024年の4月までに移住する予定で、開業及び住居(住まい、事務所テナント)等を検討しているところです。
現在の住まいと開業地が離れているため、非常に準備が難しい面はあるのですが、やれることを着々と進めています。

開業にあたって、以下項目を検討中です。
今回は、1.事業目的の設定と2.自分自身の強みの把握について書いてみます。

  1. 事業目的の設定
    ⇒将来なりたい姿の言語化
  2. 自分自身の強みの把握
    ⇒自分が何を提供できるのかの言語化
  3. 事業環境の把握
    ⇒お客様・競合・地理的条件等の調査分析
  4. 提供価値の検討
    ⇒誰に何を提供してどう喜んで頂くのかの言語化
  5. 事務所名の決定
    ⇒名称検討;○○(=自分の苗字)特許総合事務所?、ロゴ作成、商標登録
  6. 仕事環境の整備 
    ⇒移住支援事業等を通しての物件探し、業務に必要な環境(出願ソフトや事務用品等)の整備

事業目的の設定と背景

事業目的

事業目的とは、ミッションやビジョンともいわれるものですが、将来なりたい姿や実現したいことを表現するものです。
私の場合は、「誰に何を提供」するかが明確ですので、シンプルに以下のように表現しました。

「知財を活用して愛媛県を元気にしたい」

「愛媛県」と表現しているのは、企業のみならず、知財教育などの人材育成にも貢献したいと考えるためです。もちろん、愛媛県に知財に関するニーズがあることが前提になります。

背景;愛媛県の知財状況

愛媛県における知財の現状と戦略として、愛媛県庁のサイトで以下の資料が開示されています。

・愛媛県知的財産戦略
https://www.pref.ehime.jp/h12100/gakujutsu/chizai/chizai.html

国の知財推進計画について

まず、該資料の冒頭に国の知財推進計画概要が示されています。
重要な点として、天然資源に乏しく人口減少が進む我が国が発展を続けるためには、国民が想像力を高め、経済活動の中で付加価値を創出することが必須であるとした上で、(特に地方と密接な課題として)以下の点が検討事項として挙げられています。

<国の知財推進計画における重点課題(特に地方との関わりが強いもの)>

  • スタートアップ・大学の知財エコシステムの強化
  • 知財・無形資産の投資・活用促進メカニズムの強化
  • 中小企業/地方(地域)/農林水産業分野の知財活用強化
  • 知財活用を支える制度・運用・人材基盤の強化

これまで知財があまり活かされていなかった地方、その中でも特に中小・スタートアップ・大学における知財促進や、知財人材基盤の強化が課題とされています。大企業に比べて、中小企業、スタートアップや大学はリソースが限られているので、知財の専門人材を抱えているところは少なく、知財にかけるコストも抑えているのが現状です。しかしながら、リソースの少ない主体こそ知財に取り組むことに対する価値が高いとも言えます。

愛媛県の知財に関する課題について

次に、愛媛県の産業における知財に関連する課題として、以下の点が挙げられています。
以下の課題はつまるところ、いずれも知財の専門人材が乏しいことに収斂されます。
(現在愛媛県で活動されている知財関係の方々を指すことではなく、単純に数が足りていないという趣旨です)

つまり、ニーズはあり、自分の能力を活かして貢献できる可能性があるということです。

<愛媛県の知財に関する課題>

  • 第1~3産業全てにおいて付加価値率が低い
  • 地元企業において90%近くが知財の重要性を把握しているのに対して、その所有につながっていない
  • 模倣品被害を把握すらできていない企業が多い
  • 知財の管理部門が無く、知財に関する運用や規則が十分でない
  • 知財に関する専門人材の不足

自身の強み

上述した目的を叶えるために、自分の強みを確認/棚卸しをする必要があります。
「自分で言うな!」と突っ込まれるとは思いますが、以下のような点を有していると考えています。

知財業務の主なフローは①研究開発部による発明→②企業内知財部との出願内容の摺合せ→③特許事務所での出願書類作成となりますが、特に愛媛に多い技術分野について、そのフローの全てに従事したことがある経験は、知財の専門人材として他に無い強みだと自負しています。

また、知財調査や戦略業務の実績もあるので、侵害発見や知財活用(オープンイノベーションやライセンス)へのアドバイスも可能です。
種々の会社/部門の経験から、適切な社内運用や規則の策定であったり、社内研修講師の経験等から知財に関する教育もいけると考えています。

<(自分が考える)自分の強み>

  • 大学での専攻
    ⇒化学工学(特に材料力学、高分子化学) 特に愛媛の企業に多い分野
  • メーカーでの研究開発の経験(7.5年)
    ⇒設計~営業までに携わって新製品の垂直立ち上げ
  • 特許事務所での出願権利化の経験(2年)
    ⇒プロ弁理士にもまれつつ、100件以上の出願権利化
  • メーカーでの知財の出願~調査・戦略業務(4年)
    ⇒全社的な出願戦略を様々な手法を用いて調査・策定
  • 種々のプレゼンの機会/経験、社内知財教育の経験
    ⇒資料作成能力、高度なプレゼン
  • 性格上の特性;粘り強さ、細やかさ、誠実さ
  • 弁理士資格と年齢(弁理士としての若さ)

(前の記事に少し書きました→)https://blog.suepat.com/ip-business/

まとめと今後

愛媛県での弁理士としての開業にあたって、以下の通り、目的→ニーズ→シーズを(顕在化した情報から)把握できました。

  • 知財を活用して愛媛県を元気にしたい、という目的があること
  • 愛媛県には知財の専門人材を増やしたい、というニーズがあること
  • その専門人材として、研究開発~知財の出願・戦略業務経験のある自分の強みが活かせる(活かせそう)、ということ

次回は、3.事業環境の把握(お客様、競合、開業地域等の分析)と、4.提供価値の検討について書きたいと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA