愛媛県のスゴいベンチャー企業 どんな特許出してるの?①

Venture in Ehime in view of Patent

前回は愛媛県内のトップ出願人の特許マップを示しました。
(愛媛県の産業について 簡単な特許調査:https://blog.suepat.com/patent-map-for-industries-in-ehime/

今回は、愛媛県内にはどんなベンチャー企業があるのか、またそれら企業の特許出願状況はどうなっているかを調べてみました。
また、注目する企業の特許発明の詳細を確認してみました。

特許出願は決して多くは無いですし、単純なものが多い傾向にある一方、目から鱗の発明も複数あり調べていて面白いです。

愛媛県の創業支援とスゴいベンチャー企業について

愛媛県では県内の創業支援として、以下の取り組みを実施しています。
(愛媛県HP/産業創出課:https://www.pref.ehime.jp/h30800/h30800.html

  • 創業支援と財団への指導・助言
  • 産業分野のAI・IoT関連施策の推進
  • 中小企業の技術振興

特に、愛媛グローカル・フロンティア・プログラム(EGFプログラム)といった創業支援プログラムを実施しています。

具体的には、愛媛県内での起業に対して、独創的なビジネスアイデアを募り、一定期間で起業家育成プロやVCとのマッチアップによる育成プログラム等を実施することにより、愛媛発スタートアップの創出を図っています。
(愛媛県EGFプログラム:https://www.pref.ehime.jp/h30800/sougyousapo-to/egf.html

このEGFプログラムを活用して創業したベンチャー企業等を含めたベンチャー企業が「愛媛が誇るスゴVen.」データベースでPRされています。
(「愛媛が誇るスゴVen.」データベース:http://「愛媛が誇るスゴVen.」データベース

今回はこの「スゴVen.」に掲載されているベンチャー企業について、特許出願状況を調べてみました。

愛媛県のスゴいベンチャー企業の特許出願状況について

スゴVen.に掲載されている企業は計22社であり、その内訳は以下の通りです。

  • 製造業:7社
  • 情報通信業:6社
  • 卸売業、小売業:5社
  • 生活関連サービス業、娯楽業:2社
  • 学術研究、専門・技術サービス業:2社

この22社の各特許出願状況(実用新案含む)を下表に示します。
※検索ツール:JPlatPat、検索条件/(出願人:”各社名” OR “代表者名”) AND (出願人住所”愛媛県”)

結果として、毎年継続して出願している企業と、全くしていない企業とで二極化していることが分かりました。

特に製品・技術開発系の企業で全く特許出願をしていない企業が多いため、特許の重要性の認識や、特許による優位性創出・確保が可能な点は専門家として何かアドバイスできないかという思いに駆られます。

一方で、特許出願を重点的に行っている企業も確かにあり、今回はそんな企業の中から「Plus One」に着目してみました。

<スゴVen.掲載企業とその特許出願状況>

株式会社Plus Oneについて

まずPlus Oneに着目した理由は、社長である菊野宏文さんの「特許商品の開発一筋、新しいものに挑み続ける」という理念が、特許を専門とする自分に単純に刺さったからです。

(菊野さんは弁理士等の代理人に依らない本人出願で20件以上出されていて、複数の特許権も取得されています。スゴい!)

Plus Oneの事業内容は、防災用品、ペット用品、雑貨商品の企画、製造、販売です。

その中でもスゴVen.では「プラスワンパック」という、特に立食パーティー等で訴求できる「飲み物と食品をセットで持ち歩ける容器」の紹介があり、シンプルな構造、かつ組立式による低コストでの提供が可能とのこと、とても興味が引かれたので実際に該当すると考えられる特許を調べてみました。

飲食容器連結ホルダー【水平連結型】(特許6034431号)

上記した発明に該当する発明として、これかな?という特許をピックアップします。

該発明は下図(左)に示すものですが、端部が固定された上下2枚の板状部材(下図2と3)のそれぞれに2つの収納孔がついていて、中央に支持部(下図5)を立ち上げることによって、それぞれ左右に三角形状が形成されるようになっています。

下図(右)のように、左の収納孔に飲料カップを、右の収納孔に食品カップを収納することで一体化でき、片手で両方のカップを持ち運べます

左右に形成された三角形状と支持部によって力が分散され、持ち運び時の横ズレも防止できますし、支持部を立てなければ平板状なので物流・販売時にスペースをとりません

うーん。面白い!

紙コップ連結器具ー【垂直連結型】(特開2015-37950号)

もう一つ、上記は水平(横並び)で一体化するものでしたが、垂直(縦並び)での構造の出願もありました。

下図(左)に示すように、中心にいくほどテーパー形状になっている構造が上下対象となっている発明です。
また、下側の構造にはストローの差し込み口が付いています。

この構造により、下図(右)に示すように、下側に飲料カップを、上側に食べ物カップを配置することで一体化できます。

飲料カップもストローを差し込める構造なので、この状態で飲食可能です。
しかも蛇腹になっているので、上記発明と同様に物流・販売時にスペースをとりません

ただ、この出願は先行文献による進歩性違反によって、拒絶査定となっています。

特許権を取得できた可能性もあるので、もったいない??

発明をみたうえでの提案(妄想)

いずれの発明もシンプルですが、奥深く面白いです。

この発明をみて直感的に感じた提案を以下します(提案というより妄想に近いです)。

・ターゲット:時間に追われるビジネスマンやトレッキング等のアウトドア

資料には立食パーティーを意図していると記載していましたが、例えば

時間に追われるビジネスマン;私自身仕事で時間に追われることが多く、食べながら歩くことが結構多いです。食べてばかりだと喉に詰まるので、やはり併せて飲みたい願望はあります。

トレッキング等のアウトドア;山登りが趣味ですが、せっかちな性分なので、食べている間も頂上を目指したい欲求に駆られることがあります。そんな時に、収納も便利で食べ飲みつつも頂上に近づけるアイテムは魅力的です。

立食でないのに、食べる時ぐらい座って食べろよ!と言いたい気持ちはやまやまですが、このような感覚を持っている人間も少なからず存在します。
そもそも歩きながら飲み食いするのが何がいけないのでしょうか?それすらも囚われた考え方のような気もします。

歩きながら食べ飲み文化に訴求・醸成しつつ、マーケティングしてほしいです。

・更なるニーズ・発明の改良:両手を空けたい

もう一歩欲を言えば、食べ飲みしている際は、片手のみならず両手を空けたいです。

簡単にネット検索してみると、以下リンクのように肩からさげて食べ物を持ち運べるホルダーが開示されていました。

これと組合せれば、歩いて飲み食いしながら両手を使えそうです。

「クレープホルダー」 – クレープ食べ歩きに!https://enuchi.jp/13727/marion-crepes-holder

以上、行儀正しい日本人には少し無茶な提案(妄想)でした。

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